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| お年寄りへの説明 (ノロウイルスによる食中毒と感染性胃腸炎) | |||||||||||||||||||||
| <本年の掲示第一号> | |||||||||||||||||||||
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| <昔の出来事> | |||||||||||||||||||||
| 20年くらい前の夜中です。夜勤看護婦(師)の連絡で太陽の郷に向かいました。 人数は忘れましたが、腹痛などの前触れもなく、突然多量の嘔吐をしたお年寄りが何人も出ました。 「食中毒か?」「太陽の郷の死活問題!」 冷や汗ものの考えが頭をよぎります。しかし、診察を始めると奇妙なことに気づきました。 お年寄りに深刻な顔付きはなく、総じて軽症。「もう直っちゃった」との印象です。 「嘔吐してさっぱりしました」「便器いっぱい吐きました、大げさですけど」。 |
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| 「痛い、苦しかった」との訴えはなかったように記憶しています。 一晩かけて下した結論は、「お腹の風邪」。おそい日の出を朝7時頃に迎えて帰宅。 治療としては、しばらくの絶食と整腸剤、数日後には全員全快したと記憶しています。 しかし、その後の数日間は、食中毒ではないことの証拠集めと理論構築に真剣に取り組みました。 「お腹の風邪」すなわち、「気道経由によるウイルス感染とそれに伴う胃腸症状」。 20年前、最初にであった集団発生の経験と当時の結論ですが、今回もいろいろな点で似ています。特に症状は同じです。 |
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| <従業員教育(予防対策)> | |||||||||||||||||||||
| 社会情勢は、20年前と全く変わっています。当時60〜70才の入居者は、現在は80〜90才です。 お若く見えても、身体の予備力・快復力は衰えていると考えるべきでしょう。昔のように軽症で終息してくれるのか、疑問です。 今回起こった感染症の流行に、どのように対処したらよいか、現代に適する対策があるのか、検討が必要です。 太陽の郷では、居住者の食事に関する安心対策を最優先にします。そのための従業員の教育に力を入れる必要があります。しかし、予防に関しては、ほとんどお手上げ状態です。感染経路が明らかにされなければ、的確な予防は困難です。 願わくは、この領域の有識者や学識経験者に、ホーム管理者(予防最前線の尖兵)の声をお聞きいただきたい。 |
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| <ウイルスに関する認識> | |||||||||||||||||||||
| 発見から30年、ようやくノロウイルス(Novと略す)との呼び方は決まりましたが、分からないことばかりのようです。 特に、予防の現場に携わっている者に必要な事柄は、まだほとんど解明されていません。 厚生労働省のホームページを見ても、予防対策の情報は、太陽の郷管理者(現場)には、不十分です。 今回流行したインフルエンザについてみれば、「予防注射を受けた人の70〜90%が無効であった」と報道されています。 予防の現場では、病気にならない(他人から移されない)ことと、他人に病気を移さないことの手段・方法を知ることが必要なのです。 ウイルス感染に対する予防法が確立されていない現在、移す側と移される側に分けて理解すること、ウイルスの増減と移動および外界から体内への移動(侵入)場所を特定することが、予防対策の第一歩かと思います。 |
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| <地域とホームの関係> | |||||||||||||||||||||
| 「遠い親戚より近くの他人」が日常生活には欠かせません。太陽の郷創業(30年前)当時からの行動目標の一つです。「姥捨て山」的認識への抵抗でもあります。 地域からの人的援助が多い太陽の郷にとって、地域で起こっている感染症対策は、極めて難しい問題です。 隔離することはできません。介護を受ける側・介護する側双方に言えます。 人の往来を続けながらの感染予防対策。大変難しい問題です。 ウイルスに対する障壁(バリア)を、どこにどのように築けばよいのか? 「不可能への挑戦」なのかも知れません。でもやらなければなりません。 |
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| <感染症(病気)への認識を深める> | |||||||||||||||||||||
| 予防方法が確立していない現在にあっては、感染症に対する個々の認識が現場には重要です。その場の判断のために。 ここでは、Novによる食中毒・感染性胃腸炎を例に、病気になる過程を追ってみます。
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| <ウイルスが増える> | |||||||||||||||||||||
| 20数年前、太陽の郷は、当時の一般認識とは異なる温水プールをつくりました。 テーマの第一は、「温水プール水の濁りは、細菌の分裂増殖が主役であり、きれいな水を維持するには、細菌の増殖を抑制することが必要」でした。 |
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写真は、細かい目のフィルターで細菌を集め、電子顕微鏡(走査型)で見たものです。 細長い棒のような細菌(桿状菌)の中央がくびれて二つの細菌になる、すなわち、分裂増殖する像がみられます。 |
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| ウイルスは微生物の範疇にはいります。 しかし、ウイルスの増え方や大きさは、細菌とは全く異なります。 感染の起こり方も、細菌とウイルスでは区別しなければなりません。 感染の仕方が違えば、予防の方法にもそれに相応しい注意が必要だと思います。 |
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| お年寄りや太陽の郷で働く人々に、どのように説明したらよいのでしょうか。 行政・報道機関を含めた社会が、この点に目を向けるべきだと思います。 ウイルス感染の状況がはっきりしてくれば、現在のような魔女狩り的報道は減り、効果のある予防法ができるかもしれません。 |
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| Novの流れ(感染経路)について、今回の出来事に今までの私の経験と考えを加え、仮設(つくり話)を考えてみました。 | |||||||||||||||||||||
| <仮説(つくり話)> | |||||||||||||||||||||
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| 以上、ウイルスのサイズが細胞間隙より小さいことを利用して、お話を構成しました。 最後にこのお話のポイント"細胞間隙"について説明を加えます。 |
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| 細胞は集まって機能を持つ組織を構成します。 細胞は周囲の液体から、生きるために必要な酸素や栄養を取りこみ、炭酸ガスや老廃物を外に出します。 生きるために必要なものは血液で全身に運ばれます。この血液を搬送体(運ぶもの)といい、血管(毛細血管)から浸みでた液体が流れるところを「血管外通液路」といいます。 |
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接着した積み木を黄色の水にひたし、染めました。 塊の表面は染まりますが、内部にある積み木は染まりません。 |
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集まった細胞のすべてが生きるためには、細胞と細胞の間に液体が入り込める隙間が必要です。 この隙間・細胞間隙は電子顕微鏡でなければ見えないほど、狭い空間です。 |
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| ウイルスのサイズは、種類により異なります。 (1)この空間を容易に通過できるサイズ、(2)ろ過作用により濃縮されるサイズ、(3)細胞間隙に入れないサイズがあるのかもしれません。 細胞間隙の状態とウイルスのサイズ、細胞(組織)親和性説明のヒントにならないでしょうか。 |
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高田準三(平成21年2月)
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